学びあい入門(3)

今、授業直後は8割の生徒が8割以上の正答を出すことができると書きましたが、私が分析するに、これは短期記憶がなせる技だと思うのです。短期記憶の例としては例えば2時間以内ならば人間は非常に明確に記憶を保つことができます。つまりは8割以上の正答率と言うのは本当に理解できているわけではなくて、短期的に答えを記憶しているだけだと考えられます。それに対して原理をしっかり理解できていれば、2時間以上の時間が経過しても、理論と記憶が紐付けられているので正答を出すことができます。これができているのがおそらくは10%の生徒です。定期テストの点数の平均が大体6割になることがそれを証明しています。

私は学び合いを推奨されている先生方には失礼ですが、すべての授業を学び合いにする勇気は現時点では持ち合わせていません。やはり要所要所で教師による丁寧な説明は必要だと思います。しかし、私は丁寧な説明をすると非常に罪悪感を感じます。この時間私は生徒の自主性を奪ってしまったと痛切に感じるのです。ですから丁寧な説明はできるだけ少なくして、できるだけ学び合いを多くしてみたいと思います。

学びあいを実践されている先生達は子ども同士の方が、お互いにどう説明すればわかってもらえるか、大人よりよく理解していると言うのです。先生の説明を理解できない子が、隣の子のー言で「わかった!」と瞬時に理解する場面に出会ったことはないでしょうか。

実験があります。「首都」という言葉を小学生にもわかるように説明してください。どうでしょうか? これを中高の社会科の先生方に聞くと「その国の政治·経済の中心」と答えます。でも、「政治」って何でしょう。「経済」を小学生に説明できますか? しかし、一番難しいのは「中心」という言葉です。これは物理的な位置の中心ではなく、システム上の中心という意味です。これを説明するのは難しいと思います。この質問に対する最善の答えを出したのは小学校1年の時の生徒でした。その生徒の家の風呂場には世界地図があり、各国の首都が赤丸で書かれています。風呂に一緒に入っているとき父親が「首都って何?」と質問したところ、息子は「その国の大事なことを話し合うところ」と即答しました。もちろん、息子の答えが完全というわけではありません。しかし、小学生にする説明としては「その国の政治·経済の中心」よりは、はるかに優れた説明だと思います。

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