DBDマーチでようやく見えた生徒指導の心理学的アプローチ(2)(前置き)

寄り添う生徒指導をする教師は皆このような悩みを持っているのでは無いだろうか?

◯ 時間を取って、筋を通しながら、共感的に話をしても、自分の問題が理解出来ない生徒がいる。

◯粘り強く指導しても、同じような問題を何度も繰り返す。

◯指導をするとむくれたり、反抗的な態度をとる生徒がいる。

◯指導された事に腹を立てて、反抗的、挑発的な態度を続ける生徒がいる。

◯解決出来なくて保護者を呼ぶと保護者にも舐めた態度を取られる。

こういった問題が強面の威圧的な生徒指導主任の手にかかると1時間足らずで、全て解決してしまうのだ。自信もなくなるし、自分の指導力のなさを痛感させられる。

そういう中でずっと思考錯誤して来た。ある年、私は威圧的な教師になろうと心に決めた。自分の思いとは違う事をやる訳だから、毎日毎日疲れはててしまった。ある時、私が大きな威圧的な声で「起立。気をつけ。」と言い、生徒に説教をしていた。それを見ていたベテランの先生が後からボソッと「今のは良くないなあ。」とおっしゃった。彼は学級経営がうまく、彼のクラスの生徒は生き生きすると校内でも評判の先生だった。私はそれから数日間、その先生の言葉をずっと考えた。数日後、私の校務分掌は清掃だったので全校生徒に清掃指導を行う責任があった。私は清掃用具の点検や取り替え方、扱い方、清掃の時間にやるべき事を話した後に一つの話をした。大まかには、こんな話だった。

私は教師になる前、大手塾の講師をしていた。県内の主要な町には、それぞれ教室があり、教室長と言われる人が管理していた。私はシフトに従って、県内中を移動して教えていた。ある教室の教室長はいつも早く来て何かしているようだった。私は気になって早く行くと彼はトイレ掃除をしていた。それも、生半可な掃除ではない。彼が掃除した後のトイレはピカピカになっていた。私はどうして教室長が自ら掃除をしているのか尋ねると彼は「私は未熟物でどうやって自分の心を磨けばいいのかわかりません。でも、こうして朝一番に掃除をして、身の回りを片付けて仕事を始めると不思議と仕事も片付いていくのです。だからもう30年これを続けています。」と答えたのです。この話を生徒にした所、シーンとなって聞き入ってくれました。

そのオリエンテーションの後、例のベテランの先生が来て、ボソッと「今のは良かったな。実に良かった。」と言ってくださいました。私には衝撃的な体験でした。私がそれまでやってきた、寄り添う指導は、意味がないわけでも、効果的でない訳でもなかったのです。ちゃんと生徒の心に届いていたんです。

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