DBDマーチの概念に基づいた全く新しい生徒指導(12)


このような自己肯定感をめぐる混乱は、反抗、暴力、家出、ひきこもりなどの問題行動を刺激し、その子どもに対する叱責を増加させます。同時に親として、あるいは教師としての無力感や罪悪感を強く刺激され、その結果、その子どもを避けたい、関わりたくないという気持ちが強くなります。こうした周囲の感情は、子どものADHDに基づく社会的対処法の問題をさらに大きいものにしていきます。このような情緒と行動の問題はこの悪循環のなかで徐々に固定化され、二次障害として結晶化していきます。

ADHDの追跡調査の結果について

ADHDの子どもを成人期まで経過を追跡した調査のひとつに、バークレーらによって行われたミルウォキー・スタディがあります。ミルウォキー・スタディでは、ADHDの子どもが反社会性パーソナリティ障害、大うつ病、物質乱用障害に発展していくリスクがあると報告しています。その他のパーソナリティ障害については、演技性パーソナリティ障害(ADHDの人の14%が発症に対してADHDではない人は0%発症)、受動-攻撃的パーソナリティ障害(ADHDの人の18%が発症に対してADHDではない人は8%発症)、、境界性パーソナリティ障害(ADHDの人の14%が発症に対してADHDではない人は2%発症)、自己愛パーソナリティ障害(ADHDの人の5%が発症に対してADHDではない人は0%発症)という結果を報告しています。

これらをまとめると、ADHDの子どもが成人した際に出会う可能性の高い疾患としては、反社会性パーソナリティ障害、大うつ病、物質乱用障害、不安障害、境界性パーソナリティ障害といった精神疾患が浮かび上がってきます。

齊藤先生らは、ADHDの二次障害という観点から、多くのADHDの子どもが後期幼児期から学童期にかけて著しく反抗的になって、反抗挑戦性障害(ODD )の診断が可能となり、その一部は後期学童期から思春期にかけての年代で複数の種類の反社会的行動を反復的・持続的に示すようになって素行障害(CD)と診断されるに至り、さらにそのごく一部が(とはいえADHDではない人達よりは明らかにに多いが)青年期のいずれかの段階で常習的犯罪者である反社会性パーソナリティ障害を示すに至るという、反社会性が前景に立つ外在化障害の展開過程を想定し、「DBDマーチ」と呼ぶことを提案したのです。

こうして、全貌が見えて来ると背筋が寒くなる思いがします。我々教師の無知と間違った指導により、適切な環境と支援が与えられれば、幸せに生活できたはずの人々の人生を破壊してしまう可能性が非常に高い確率であるのです。

さらに理解しないといけないのは、小学生、中学生ですでにDVDマーチが進行して反抗挑戦性障害(ODD )から素行障害(CD)へと到達して、すでに手がつけられない状態の生徒が一定割合いるという事です。

そういう子供の親の中には事実として、子供を殺して自分も死のうとするほど追い込まれている親がいます。指導困難な生徒の指導において、保護者を責める事はあまり効果的ではないようです。むしろ、私達教師の役割は重荷を分かち合う事で少しでも、保護者の気持ちを軽くしてあげる事にあります。

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