DBDマーチの概念に基づいた全く新しい生徒指導(14)

実際、私が関わった生徒でも父子家庭で家族の養育機能が低いと判断せざるを得ず、父親、本人、児童相談所と連携して養護施設へ入所した例がありました。この生徒はADHDの生徒で、幸いこの時は劇的な効果があり、半年の入所で生徒の生活態度は劇的に良くなりました。今でも交流がありますが、有名ラーメンチェーン店で熱心にアルバイトをしていて、もう少しで正社員に取り立てられるという事です。DBDマーチを生徒指導に取り入れる最大の利点はDBDマーチは止められる。場合によっては、進行を戻す事が出来るという事で、指導者が明確な目標を持って取り組めるという事なのです。

ADHDのもうひとつの展開(内在化障害)
自尊感情の低下に伴う不安や抑うつなどの「内在化障害」は、破壊的行動障害よりは併存が少ないものの、ADHDと同時に起こりやすいといわれています。ADHDの子どもは虐待と呼べるほどの激しい叱責を受けて育つことも稀ではありません。こうした幼児期から学童期にかけての逆境的体験が、子どもの自信を失わせ、いつも叱責を予測して緊張し不安を感じ続けるという情緒状態を作り出します。

私の考えでは内在化障害は外在化障害と分けて考えられる物ではなく、外在化障害がある場合、必ず内在化障害が同時進行しているのではないかと考えるのです。そうであるならば指導困難な生徒に対する激しい叱責や虐待に近い激しい叱責は一時的に効果があるように見えても、DBDマーチの進行という面から考えると全く逆効果だと言えるのです。

ADHDに生じやすい二次障害としての 内在化障害は、受動攻撃的反抗です。これは、他者に直接的反抗を示すのではなく、大人の指示に従わず、大人の期待する前向きな生き方を放棄してしまうという形で現された不従順さを意味しており、ADHDに合併した不登校、ひきこもりにしばしば見出されます。葛藤に満ちた親子関係とひきこもりに向かう非社会性が長く持続する場合には、徐々にこうした非社会性や、親子関係や、受動攻撃的な姿勢がパーソナリティ構造に組みこまれていき、境界性パーソナリティ障害、受動-攻撃的パーソナリティ障害などのパーソナリティ障害へと展開することが考えられます。

これらの「外在化障害」と「内在化障害」は独立して展開するものではなく、相互に移行しながら展開していきます。 ADHD治療の早い段階から、さまざまな領域の治療・援助者は、ADHDの存在が「外在化障害」および「内在化障害」の展開を通じてパーソナリティ障害にまで至る可能性を少なからず高める要因となっていることを意識して治療・援助にあたる必要があると思われます。

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