教師のためのカウンセリング基礎技術 共通の地盤を築く(2)

指導例

「大迫君、先生は大迫君が中野さんにすごくきつい事を言ったと聞いたのだけど、本当かな?」

「だって、女子はイライラするんですよ。」

「女子についてイライラしているんだね。どうしてイライラするのかな?」

「だって、あいつらいっつも固まってなんかコソコソ悪口言ってるし、いちいち細かい事で文句言ってくるんですよ。」

「コソコソ文句を言われたら、確かに誰でも腹がたつね。それにいちいち口うるさく言われたら、嫌な気持ちになるかもしれないね。なるほど、そういう気持ちは理解できるなあ。」

「それで、今回はなんで中野さんにきつい事を言ってしまったのかな?」

「それは中野が教室から出て行けって言ったから。」

「お、中野さんは理由もなく大迫君に教室から出て行けって言ったのかな?」

「それは次が体育の授業だったから。」

「体育の授業だと大迫君はクラスから出ないといけないのかな?」

「はい、女子が着替えないといけないから。」

「じゃあ、中野さんの言った事は間違っていたのかな?」

「間違ってないです。」

「間違ってないけど、大迫君は腹が立ったんだね?どうしてかな?」

「自分が間違っている事を言われた事も腹が立ったし、言い方が偉そうだったから腹が立ちました。」

「なるほど、自分の間違いを指摘されると腹が立つ気持ちは分かるなあ。でも、そこは大迫君が間違っていたと認める事はできるかい?」

「はい、できます。」

「もう一つ腹が立ったのは、言い方が偉そうだったという事だね。何て言われたの?」

「次は体育で着替えないといけないって分かってるでしょ。ダラダラしないで早く教室から出て行ってよ。みたいに言われました。」

「それはかなりきつめの言葉だね。なんで中野さんはそんなきつい言い方をしたのかな?」

「男子の事が嫌いだからだと思います。」

「なるほど、それもあるかもね。」

「先生はクラスの男子と女子がもっと仲良くなってほしいと思っているんだけど、何か良い方法は無いかな?」

「女子はひそひそ話をやめたらいいと思います。」

「なるほど、それはいい考えだね。でも女子に何かお願いするんだったら、男子も何かしたほうがいいんじゃないかな?」

「男子は女子が嫌がることをやめたほうがいいと思います。」

「なるほど、それは素晴らしいアイディアだね。いっぺんにいろんなことを変えるのは難しいから何か1つやるとしたら何ができるかな?」

「思いつきません。」

「例えば、大迫くんは今回中野さんにどんなこと言ったのかな?」

「うるさいよブス。そんなこと言われなくてもわかってんだってよ。お前いつもきもいんだってよ。と言いました。」

「それを言われて中野さんはどう思ったと思う?」

「分りません。」

「ブスって言われたらどう思うかな?」

「嫌な気持ちだと思います。」

「そんなこと言われなくてもわかってんだってよ。て言う言葉についてはどう思う?」

「本当は着替えの時間なのにダラダラしていた自分たちが悪いと思います。」

「きもいんだってよと言われたらどんな気持ちがするかな。」

「傷つくと思います。だから僕は相手を傷つけるためにきもいといいます。」

「言われた相手が傷つくと思うんだね。」

「先生から提案があるんだけど、まずは中野さんに嫌なことを言ってしまったことについて謝ってみたらどうだろう?できるかな?」

「できます。」

「もう一つ、先生から提案があるんだけど、ふわふわ言葉とちくちく言葉もう一つ、先生から提案があるんだけど、と言う言葉があるのね。ふわふわ言葉は人を元気付ける言葉。ちくちく言葉は人を傷つける言葉。今度の学活の時間ふわふわ言葉とちくちく言葉について大迫君から説明してほしいんだけどどうかな?」

「僕はいつもみんなに嫌なことばかり言っているし、僕が説明しても、みんな聞かないと思います。」

「今回、大迫くんは人を傷つける言葉を使って、反省したよね。そのことについて話しても話さなくてもいいんだけど、人を傷つける言葉が悪いと言う事はわかったよね。そのことをみんなに伝えて欲しいんだ。どうだ。やってみないか。」

「わかりました。上手にできないかもしれないけどやってみます。」

「じゃぁ、次の学活まであと三日間あるから、どんな話をするか考えて、毎日放課後先生のところに話に来てくれないかな。それで、もっと上手に話せるように練習してみたらどうかな?できますか?」

「がんばってみます。」

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